リウマチ科とは
膠原病は英語でRheumatology(リューマトロジー)と言います。リウマチ科とは関節リウマチだけでなく膠原病全般を治療する診療科です。そもそも膠原病とは聞きなれない言葉ですが、「筋肉」、「関節」、「皮膚」、「血管」など何かと何かをつなぐパーツに起こる病気です。
関節イメージが強いので、整形外科領域の変形性関節症、足の親指の付け根の関節に激痛が走る痛風も含まれ、その種類は2,000にも及ぶとも言われています。免疫異常が膠原病を引き起こすので自己免疫疾患と言われています。
リウマチ性疾患を主な診療対象としています。当診療科は日本リウマチ学会が認定するリウマチ専門医でもある当院長が担当します。
当診療科の対象となる主な膠原病、リウマチ性疾患
関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、リウマチ性多発筋痛症、血清反応陰性関節炎、掌蹠膿疱症性骨関節炎、シェーグレン症候群、強皮症、ベーチェット病 など
関節リウマチ
膠原病の中で1番多い病気で、推定患者数80万人と言われ、30~50歳代に好発し、女性患者の数が男性患者のおよそ4~5倍になる疾患です。免疫異常によって関節に腫れや痛みがみられるようになります。最初の頃は、手の指や足の指を中心に数か所の関節で腫れや痛みが出現し、やがて多くの関節に広がるようになります。
これは関節に炎症が広がっている状態ですが、キチンとコントロールしなければ関節が破壊され、変形が進行し、体を動かすことができなくなり、日常生活にも支障をきたすようになります。
タイプによっては関節だけではなく、目、肺、胃腸、肝臓、血管などにも炎症が起こる臓器障害合併の重症な患者さんもいます。
朝起きた際に関節の動かしにくさ(こわばり)が1時間以上続く、腫れを伴う関節痛が3ヵ所以上ある、左右対称で関節の腫れがある、皮下にしこりがみられるという症状があれば関節リウマチが疑われます。また全身症状として微熱・倦怠感・食欲不振などがみられることもあります。原因不特定の関節痛や腫脹などがあるという場合は一度ご受診ください。
シェーグレン症候群
涙や唾液といった分泌液が減少する病気で、眼が乾燥しゴロゴロするドライアイと、口と喉が渇いてしゃべりにくい、飲み込みにくい、夜起きてしまうドライマウスのが特徴の疾患です。原因は免疫異常によって外分泌腺を壊してしまう事で起こります。
涙腺と唾液腺が代表ですが、汗腺、膣のバルトリン腺、消化管の粘液線なども壊されます。ドライアイ・ドライマウスだけでなく、舌の表面が壊される味覚異常や、皮膚のかさつきや痒み、陰部乾燥からの痒みや性交痛、上手く消化できず体重減少などの症状が起こることもあります。
他にも耳下腺が繰り返し腫れる、虫歯になりやすい、怠い、微熱が出る、体の節々が痛いなどの症状も見られます。徐々に病気が進行することが多いので、発症から受診まで時間がかかることが多く、気が付いたら機能がかなり低下しているケースも多く見受けられます。上記に当てはまることがありましたら、お早めにご受診ください。
なおシェーグレン症候群は、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症など他の膠原病と併発し、見逃されている事が多い疾患です。原疾患の経過が良いの上記症状があるようでしたら場合はシェーグレン症候群が合併している可能性がありますので、主治医にご相談されるか、一度ご受診ください。
全身性エリテマトーデス
膠原病の代表的な疾患で、一度発症すると高熱や全身倦怠感が続き「全身性」というだけあって、様々な症状が体全体に短期間に出てきます。診断基準を見てみますと
- ① 顔面紅斑
- ② 円板状皮疹
- ③ 紫外線に対する光線過敏症
- ④ 口腔内潰瘍
- ⑤ 関節炎
- ⑥ 胸膜炎あるいは心膜炎
- ⑦ 蛋白尿血尿などの腎病変
- ⑧ 痙攣あるいは精神障害などの脳神経病変
- ⑨ 貧血、白血球減少、血小板減少などの血球障害
- ⑩ 疾患特異的抗体出現
- ⑪ 抗核抗体陽性
皮膚や口腔粘膜など体表面の症状、関節という運動器、胸部・腎臓などの内臓、脳神経、造血器などまさに全身の病気です。この中のどれか4つを満たせば診断になるので、人によって症状の出方はまちまちです。男女比は1:9と圧倒的に女性が多く、なかでも月経がある世代の方によく見受けられます。免疫異常を起こす原因については、現時点では特定されていませんが、環境要因と遺伝的要因があると考えられ、①紫外線②感染③ストレス④妊娠出産が増悪因子と言われています。一度発症すると、症状が良くなったり悪くなったりを繰り返すのも特徴なので、日焼け予防、感染予防、ストレス対策などをしっかり行うことも大切です。早い対応が必要になりますので、心当たりがございましたらすぐにご受診ください。
強皮症
免疫異常によって手や足の指先から皮膚が硬くなっていき(線維化)、徐々に体の中心に向かい、腕や足全体、体幹、顔などに広がっていく病気です。病気は指に限局される強指症と全身に広がる全身性強皮症2つのパターンに分かれます。さらに食道や肺、肝臓といった内臓でも線維化が見られます。症状は皮膚硬化だけでなく、指の血管が固く血流が悪くなるレイノー現象。嚥下困難、逆流性食道炎、下痢、便秘などの消化管硬化・消化不良症状。肺が固くなり酸素交換ができない息切れや、空咳が止まらなくなる肺線維症。痛みや腫れが起こる関節炎などの症状が現れます。全身性強皮症は内臓にまで硬化がみられる事が多いので重症化することもあります。同疾患も女性が圧倒的に多く、発症のピークは40代と言われています。
なお皮膚が硬化する現象についてですが、いきなり線維化するということはありません。最初は手や指がパンパンに腫れていきます。この時に免疫異常が関わっていると言われています。その後、皮膚が硬くなっていき、さらに色素沈着によって黒ずんでいきます。さらに症状が進むと硬化状態は徐々に緩和されるようになりますが、皮膚が薄くなるなどして潰瘍を発症しやすくなってしまいます。
皮膚の線維化そのものを解消させる特効薬はありません。海外では線維化する前の免疫異常に対する治療の話が出ていますが、有効性はまだ確立していません。そのため、対症療法による薬物療法が中心となります。障害臓器によってはステロイド薬や免疫抑制薬なども使用されます。手や指の腫脹や冷たさに伴う色調の変化となどがある場合は一度ご受診ください。
皮膚筋炎/多発筋炎
免疫異常によって特徴的な皮疹と筋肉が破壊される病気で、皮膚筋炎は筋肉の炎症と皮膚症状がある場合を言い、多発性筋炎は筋肉の炎症のみの場合を言います。中年世代に発症しやすく、女性に多い疾患です。また中年世代以降の皮膚筋炎患者さんの2~3割ほどの方にがんが併発していることがあると言われています。
発症のメカニズムですが、皮膚筋炎と多発筋炎は少し違いがあります。
多発筋炎は筋肉が炎症起こすことで筋肉が破壊され、これによって筋肉に力が入らない、筋肉が痛くなるといった症状が起きるようになります。なお筋肉の低下は、肩、腕、腰、太ももなど左右対称でみられます。症状が進行すると、筋肉がやせ衰えていき、食べ物の飲み込みやベッドから起き上がるという行為も困難になるなど、日常生活に支障をきたすようになります。
皮膚筋炎では全身の血管に炎症が起こります。皮下の血管に炎症が起こった結果、まぶたや頬に紅斑をはじめ、首、胸、背中、肩、肘、足首といった箇所に赤くて痒みの強い発疹が出ます。筋肉の周りの血管に炎症が起こると筋肉が破壊による脱力感と筋痛が起こります。全身の血管ですから関節痛や発熱、倦怠感などの全身症状も現れます。様々な症状があるわけですが、最も注意する必要があるのは、肺の血管の炎症で引き起こされる間質性肺炎による咳や呼吸困難の症状です。非常に重症化することが多いので入院加療が必要となります。
治療に関してですが、まず全身の悪性腫瘍の精査をします。悪性腫瘍があった場合はその治療を行うとだいたい改善します。悪性腫瘍がなければ筋肉や血管の炎症を抑えるために、ステロイド薬や免疫抑制薬による薬物療法を行います。その後充分炎症が抑えられ、症状が改善するようになったら、破壊された筋肉を取り戻すためにリハビリテーションを開始し、筋力が回復するためのメニューをこなすようにします。
特に皮膚筋炎は早い対応が必要になりますので、心当たりがございましたらすぐにご受診ください。
血管炎症症候群
主に免疫異常によって、血管壁に炎症が起きている状態を総称して血管炎症症候群と言います。血管壁が炎症などによって傷が生じるようになると血流が悪くなる、血管内が詰まるといったことが起きるようになって臓器に障害が現れることもあります。ちなみに血管は全身のいたるところに張りめぐらされているので、どこでも起きる可能性があります(大動脈、中・小型動脈、毛細血管 など)。
炎症が発生する血管によって診断名や症状が異なりますが、同症候群で共通する主な症状は、発熱、全身の倦怠感、関節や筋肉の痛み、食欲不振、血尿・たんぱく尿、手足のしびれなどの神経症状、皮膚症状(湿疹や潰瘍)など多様ですが、現れる症状は患者さんによってそれぞれ異なります。
なお、血管炎症症候群の中で比較的患者数が多いと言われているのが、炎症が大動脈で起こる高安動脈炎、中型血管で起こる結節性多発動脈炎、細い血管でみられる顕微鏡的多発血管炎です。高安動脈炎は40代以下の女性によく見受けられるとされ、症状が持続していくと高血圧や心不全を発症することもあります。また、結節性多発動脈炎や顕微鏡的多発血管炎では、腎臓や肺などに臓器障害がみられることもあります。
このような一口に血管炎症症候群と言いましても様々なタイプの疾患がありますが、どの種類であっても治療の基本はステロイド薬の使用になります。そのほか、免疫抑制剤や血液の流れを改善させるための血管拡張薬、降圧薬などが用いられることもあります。いずれにしても早期発見、早期治療が大切ですので一度受診ください。
ベーチェット病
ベーチェット病は、膠原病に近い病気と言われ、なかなか治りにくい口内炎、陰部の潰瘍、目が見えにくさ、2-3cmぐらいの大きさで盛り上がった痛い手足の発疹、体幹部の毛嚢炎などの皮膚症状がみられます。近年は自己炎症症候群という疾患群に分類される事もある病気です。膠原病でないとはいえ、全身に炎症が波及している病気でもあります。
このほかにも症状として、関節の痛みや腫れ、頭痛、腹痛のほか、腸管に潰瘍、動脈瘤や静脈血栓といった血管症状が現れることもあります。なお患者さんによって症状の出方は異なります。また良くなったり悪くなったりを繰り返すのも同疾患の特徴です。男性女性、関係なく発症しますが、男性の方が重症化しやすいと言われています(内臓、血管、神経の病変)。原因は不明ですが、家族内発症も多く、遺伝素因に感染症やそのほかの環境因子が加わることで発症するのではないかと考えられています。
治療については、コルヒチン、ステロイド剤、免疫抑制剤、生物学的製剤などを用います。漢方薬を用いるケースもあります。以前に比べてだいぶコントロールできる様になってきました。繰り返す口内炎、陰部潰瘍などある場合は一度ご受診ください。
院長 野崎 高正
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